お子さんを生んでから?
最近TVでも色々特集されてまして、上記の項目も全て間違いではありません。
歯周病はよく言われていますが、多因子疾患であり、おもには細菌感染症です。
要するに、ほかのインフルエンザとかと一緒でばい菌によって引き起こされます。
口腔内常在細菌叢といって、お口の中には500とも700とも1000とも色々な最近がいるといわれています。
その細菌の中に、虫歯の原因となる菌だったり、歯周病の原因となる菌がいます。
さらに、侵襲性歯周炎と呼ばれるものはA.a菌によって引き起こされる、等の特定の歯周炎が特定に菌に起因するとまで言われていました。
ちなみに、歯周病の治療の歴史は意外と最近で、日本でも50年ほど前から始まっているようです。
近代歯周病の要である歯周病=プラークというのも、Loe,H先生の論文もまだ1965年です。
Loe H, Theilade E, Jensen SB. Experimental gingivitis in man. J Periodontol1965; 36: 177-87
そこから、歯周病がどういった病気であるか、どういった治療が有効であるかが解明されてきました。
その中でやはりキーとなるのは細菌の話です。
自分が歯科医になったときにはレッドコンプレックスと呼ばれる細菌のリスクピラミッドが歯周病でもトピックでした。
それから、検査によってお口の中の歯周病菌の量を調べてリスクを考えてみました。
また、細菌が原因であればその細菌を薬で倒して、歯周病をもっと効率的に治療しようとする歯周内科と呼ばれる分野も勉強しました。
他にも色々と信憑性の怪しいものから有名な話まで色々見たり聞いたりしてきましたが、その話は長くなるのでまたどこかの機会で話をすることにしますが、そのどれもがあまりしっくりこず、なぜ歯周病が細菌によって起こるのかをあいまいなままになっていました。
しかし、今年色々勉強してきて、自分の中でも歯周病の細菌論としてマイクロビオームが一番しっくりきています。
というか、細菌学についてはこれが答えになるのではないかなと考えています。
今年になって、ヨーロッパの歯周病の学会で盛り上がっていた話として、マイクロビオームという考え方があげられるようになりました。
マイクロビオームとは歯の周りの細菌がいつも住んで共存している集合体で、要するに良い菌も、悪い菌も一緒絡み合って住んでいる状態の事です。
マイクロビオームの考え方は、口の中だけではなく、全身の話として取りざたされていますが、要は細菌の相互作用による1つの機能発現といったところでしょうか?
細菌同士の持ちつ持たれつなので、いまの人同士のSNSのようなネットワークでしょうか。
今まで、この細菌が悪さしているからそれを倒そう!だったり、悪さしている細菌の機序を調べよう!といった話になっていたのですが、マイクロビオームの考え方が入ることで個々の細菌に対応することのでは根本的な歯周病の治療になるわけではないことが分かってきました。
来年はじめに、イエテボリから細菌学の先生(Gunnar Dahlén 教授)が日本に講演に来られるので、細菌の話を二日間聞いてきます。
来年はプラークマスターになるべくさらに勉強してこようと思います。
結局、いかに細菌の集まり(プラーク)を物理的に(ブラッシングやエアフロー)除去していくか!
歯周病の治療はそうしたシンプルな戦略に基づいて治療をすすめるだけですね。
戦略はシンプルですが、戦術(非外科的なコントロール、歯周外科、再生療法、SPT、抜歯等)は多々あるので、そこは自分と担当の衛生士と一緒になって頑張っていこうと思います!