4/17~5/8まで改装のため休診いたします

サン・スマイル歯科は、新しくWADA DENTAL CLINIC(和田デンタルクリニック)となります。

医院名・外装・内装をフルリニューアルして、5/9にリニューアルオープン予定です。

4/17~5/8までの改装休診期間中に何かお困りごとがありましたら、下記のフォレスト歯科こども歯科でも応急対応していただけるようになっております。その際には必ずお電話口で「サン・スマイル歯科から」とお伝えください。
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歯髄保存療法(MTA)

歯にとって残念な治療のひとつ

歯が痛い!
以前では、歯医者さんに行く理由としては一番多い理由ではなかったのでしょうか?

自分が歯医者になったころ、まず院長先生に教えられた治療が歯の神経を取ることと歯を抜くことでした。
それだけ、歯の神経を取ることばかりの診療だったということでしょうか。

実際に、昔の歯医者さんでは痛くなったらとりあえず神経を取り、そのまま様子を見ておいて次に痛くなったら歯を抜くといった流れが一般的でした。最終的に落ち着くところは入れ歯ですね。

要するに歯医者さんはたんなる痛みを取るところであって、歯を治すところではなかったところが大半でした。
求められるのもよりよく噛みたい!よりも痛みがなければいいということだった、ということでしょうか?

ただし、今は違います。
患者さん皆さんが望むことも、自分たちが求めることも一緒です、自分の歯で生涯美味しく食べること!!

日々色々な技術が生まれ歯がなくなって知った場合や一部がかけてしまった場合に補う技術はすごく向上してきていますが、サン・スマイル歯科では一番重要視していることがその前に歯を失わないことです。
失わなければ、歯のイミテーションを作る必要がありませんからね、大事なのは予防です!

では、いかに歯を残すことができるか?
先の話に出てきた歯の神経を簡単に取ること歯にとってどうなのでしょうか?

答えとしては、神経のない歯は非常にリスクが高くなってしまいます。

リスクとしては大きく3つ、

①虫歯ができやすく、進行しやすい

神経がない歯は、虫歯になりやすく、虫歯の進行速度も早いのです。

神経を取った歯は、ほとんどの場合金属製や セラミック等の被せ物が入ります。

そうした被せ物と歯との間に若干の段差、つなぎ目の所に虫歯菌が侵入し、虫歯が始まりやすくなります。

しかし、その神経のない歯にとって、もし虫歯ができてしまった場合、いつそれがわかるでしょうか?

そうなんです、神経のない歯にとって、虫歯がわかるのは被せ物が取れたり、根っこが腐ったりと進行してからになります。

気がつくと抜かなければいけない状況になっていることも多いです。

②歯が割れやすい(歯根破折)

神経のない歯はもろく 通常の咬む力でも割れてしまうことがあります。

例えば、生きた木と枯れた木を比べてみてください。

枯れた木枝はすぐに折れますが、生きた木の枝はなかなかポキッと折れてはくれません。

神経をとってしまうと、研究結果からも明らかにねじれや力にに弱くなってしまうので、折れやすくなってしまいます。

また、最近では金属の芯を入れることはなくなりましたが、昔の治療では差し歯に金属の芯を入れていたので、クサビとなってさらに割れやすくなっています。

折れた場合には、保存が難しくなることが多いです。

もちろん折れた部位や折れてからの期間にもよりますが、抜歯となることが多いのが この歯根破折です。

③根の先に膿が溜まる!

神経がない歯は、根の先に膿みが溜まることがあります。この膿が大きくなると 腫れたり、痛みが起こったりします。
根の先に膿みが溜まった場合には、膿みを取り除く治療(感染根管治療)を行いますが、再発率が高いのです。

根自体が感染しているため消毒だけでは細菌を100%取り除くことは不可能です。

特にレントゲン上で膿の陰が大きかったり、何度も腫れを繰り返しているような状態の場合には、再発するリスクが高いことが 多くの論文からも明らかになっています。

そうなると、こうなります。

こうしたように、歯の神経がなくなると、色々な問題が起きてきます。

現在では、虫歯、歯周病はある程度予防ができるようになってきました。
そうなると、歯がなくなる原因とは何でしょうか?

歯を失う原因の割合は歯周病が42%、むし歯32%、その他13%、歯根破折11%、矯正1%という報告があります。

これは2005年のデータで、現在はもっと虫歯、歯周病について歯がなくなることはなくなってきました。

*安藤雄一, 相田潤, 森田学, 青山旬, 増井峰夫(2005)永久歯の抜歯原因調査報告書 東京: 8020推進財団
http://www.8020zaidan.or.jp/pdf/jigyo/bassi.pdf

つまり、虫歯や歯周病のリスクがなくなんでも噛める方にとっては歯が割れることが一番のリスクとなります。

神経を取らない治療

サン・スマイル歯科は予防歯科です。
そうした歯根破折や根の感染を防ぐ為には、一番はまず神経を抜かない!ことです。

色々な根管治療の勉強会でも「感染を防ぐ最良の根管充填剤(お薬)は神経だ」と云われる通り、神経を極力抜かないことが歯を抜かないことにつながっていきます。

神経を取らないこと、虫歯・歯周病を進めないこと、その二つを頑張ることでおのずと自分の歯で一生美味しく食べることができます!!

その為に、神経を取らない為にはどうしたら良いのでしょうか?
残念にも虫歯になり傷んでしまった場合、神経まで炎症が波及している為通常では神経を取らないといけないとされていましたし、神経を取ることが当たり前となってきました。

しかし、それが新しい材料と研究結果によって変化することになります。

そもそも、痛みがなぜ出てきているのかというと、虫歯菌が神経内部に侵入することにより、神経の内部では血液に乗って対抗する免疫細胞(体の防御反応)が集まってきます。

それにより、狭い神経の内部で血液が集まる(充血)ことにより、神経が刺激されズキズキとした痛みにつながります。

ですので、原因となる神経を取りましょうと通常はなるのですが、もっと大事なことは虫歯菌がなくなり、充血が落ち着けば神経を取る必要はないのではないか?ということですね。

それを可能にするのが、しっかり虫歯を含めて見えるようにすることと(拡大鏡)と虫歯菌を取った後にしっかりと封鎖すること(MTAセメント)になります。

とくに、今までは神経を無菌化した後に封鎖する材料が難しかったのですが、次世代のセメントであるMTAがそれを可能にしました。
色々と性質はありますが、一番は生体親和性がよく(異物と認識されない)、湿っていてもしっかりと接着することです。
それにより完璧な封鎖が行われ、神経を残せることにつながっていきます。

それでは、実際の症例で見ていきましょう!

最初に説明を行い、麻酔をして虫歯を取りました。

途中からは機械的ではなく手用の道具を用いて、丹念に少しづつとっていきます。
そして全てとりましたが、x線写真通りやっぱり神経につながっていました。
赤いところが神経で通常では神経を取るしかない状態です。

ただし、神経自体は拡大視野下において確認すると、比較的炎症も少なく特殊ではありますがプロトコルに従って適切に処置を行えば、神経の保存はできると思いました。

そこで患者さんと相談し、MTAを用いて神経を取らないように、歯髄保存療法をすすめていくことにしました。

神経の炎症部位をとり、処置を進めながらMTAセメントにて緊密に封鎖が終わりました。

その後、仮の詰め物にて充填を行い一時終了です。

X線写真上からも封鎖具合は問題ないので、その日の治療は終了です。

どうしても当日は痛みが出てしまうのですが、翌日以降に痛みも治まってくることがほとんどです。
実際、今回の患者さんも翌日からは落ち着いており、すこししみるくらいで神経は問題なく残っています。
次からフォローを行い、落ち着いたのを確認してコンポジットレジン(白い詰め物)を行い全て終了になります。

こうしてMTAセメントを用いた特殊な術式により通常であれば神経を取らなければいけない歯を守ることができました。

もちろん、痛みも翌日からおさまり、若干冷たいものがしみるものの問題ないとのことでした。
ですので、白い詰め物できれいに修復して終わりになります。

もう一つ症例を見て見ましょう!

こちらも同じく虫歯から痛みができて患者さんです。
17歳ということもあり、今後60年以上も使い続ける大事な永久歯の神経を取るのはどうしても悔やまれるので、本人・ご両親に説明を行いMTAを用いた歯髄保存療法を進めていくことになりました。

まずは、初回のx線写真です。

まずはしっかり麻酔を行い、痛みがない状態でしっかりと虫歯を取りました。

そうなるとやはり神経まで虫歯がつながっていたため、炎症がない所まで虫歯をしっかりと取りました。

神経が出てきているところも大きく、3mm程度の穴が空いております。

もちろん、通常であれば神経を取る治療になります。

神経の炎症部の処置を特定のプロトコルで対応を行い、MTAセメントで封鎖を行いました。

その後、仮の詰め物で今日の治療は終わりです。

X線写真での確認も大丈夫です。

後日来院していただきましたが、やはり治療当日は痛みが出たとのことでしたが、翌日からは落ち着てきており少ししみる感じもあるが日常生活は大丈夫とのことでした。

問題もないので、最終的な詰め物で治療を行い今回の治療は終了となりました。

歯髄保存療法によって歯にとって何ができるか?

このように、虫歯が大きく痛みが強い状態出会った場合、通常の治療であれば

①神経を取る(抜髄)

②根のお掃除を行う(根管治療)

③根にお薬を入れる(根管充填)

④土台を作る(支台築造)

⑤被せ物の型取り(形成&印象)

⑥被せ物を取り付ける

といった治療の流れになり、最低でも6~7回かかります。
その上、神経もなくなり、歯も大きく削られるため、寿命は大幅に短くなってしまいます。

それが、MTAにより2度で治療が終わり、さらにもっと大事なことで神経を残すことにより歯の寿命を延ばすことができます。

今までも色々な神経を温存する治療法をさせていただきましたが、一番治療成績もよくMTAを導入してからほとんどの場合で神経を取る治療がなくなりました。

大事なことは、治療回数が減るということよりも、歯を強いまま残すことができるか!ですね。

サン・スマイル歯科では歯周病に対してもまたご報告させていただこうと思いますが、虫歯の進行に対して神経を取らないことで歯を残していこうと思います。

是非とも歯を残して、いい健口状態で行きましょう!